ことばのお勉強(2)2006年08月02日 12:01

 きょうは特別なニュースもないので、ことばのお勉強でも。
★「愛別離苦(あいべつりく)」:法華経の一節で愛するものとは別れなければならず、会った者とは離れなければならない。そうした苦しみがあるのがこの世の定めである。あるがままに受け入れよ。会うは別れの 始めなぁ~~り。チン。
★「青は藍より出でて藍より青し(あおはあいよりいでてあいよりあおし)」:最初の「青は」を省略することもある。染料の青は藍より作られるが、その色は原料の藍より青いが直訳ですが弟子が師匠より優れているの例えに使われる。出典は「荀子」で「氷は水より出でて水より寒し」につながる。これより出藍の誉(しゅつらんのほまれ)が派生した。
★「阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)」:吐く息と吸う息という意味で「阿」はサンスクリット12母音の最初の音で開口音、「吽」は同じく最後の音で閉口音。密教ではこの最初の「阿」と最後の「吽」をもって(中間はすべて含んでいると解釈して)万物の根元と究極を象徴するものとした。したがって狛犬や仁王像で口をあけているのが阿で閉じているのが吽で本来ならば12体欲しいところ。これより二人以上の人が一つのことを為すとき、ぴったりと息が合う様をいうようにもなった。
★「青田の田螺、嫁に食わすな(あおたのつぶ、よめにくわすな)」:青田でとったタニシはとてもおいしいので嫁に食わすなと体に悪いので嫁に食わすなの二説がある。一つは嫁いびり、ひとつは嫁思い、両極端なことわざである。これに類する有名なことわざが「秋茄子は嫁に食わすな(あきなすはよめにくわすな)」。これも秋茄子はおいしいからと体を冷やすから毒になる、特に妊婦にとってはとの説がある。他にもいろいろあるが「秋カマスは嫁に食わすな」「秋タナゴは嫁に食わすな」「二月のそうはち(カレイ)は嫁に食わすな」「三月鱈(たら)と十月鯛(たい)は嫁に食わすな」と旬でおいしい物はもとよりさほどおいしくない物まで嫁に食わすなと善意よりも悪意のほうが多いようである。昔はそれだけ家制度の中で嫁の立場が虐げられていたようだ。いま嫁姑(よめしゅうと)の騒動が絶えないと聞くが昔に比べ嫁の立場が強くなったため、止むを得ない仕儀かもしれない。

 最近、国内外で殺伐としたニュースが多い。せめて家庭内だけでも嫁姑が仲良く阿吽の呼吸で生活して欲しいものだ。人の世は「愛別離苦」。せめてお互い元気の間は。