「因幡の白兎」異聞2007年10月10日 01:15

 少し飽きてきたので別のお話しでも。「因幡の白兎」大国主のお話として有名ですよね。忘れている人もいると思うので、下に記します。
 『隣の因幡の国に、たいそうきれいな姫がいるということで、大国主は兄たちと嫁取りに出かけました。兄たちは自分の荷物を持たず全て末の大国主に預けたため大国主はそれらを大きな袋に入れ、遅れて歩いてきました。先を歩いていた兄たちは海岸で毛を剥がれた丸裸で瀕死のウサギを見つけました。そこで兄たちは「おい、ウサギ、治りたければ海の水を浴びて高台で風に吹かれて寝ていろ!」と言いました。ウサギはそのとおりにしたところ前より痛みが増し、ばたぐるっていました。そこに大国主が通りかかり、優しく訳を聞いたところ、ウサギは答えて、「私は因幡の国で仲間たちと楽しく暮らしていました。ところがある日洪水が襲ってきて私だけが沖に流され、やっとの思いで隠岐の島にたどり着きました。そこでしばらく暮らしていましたが故郷が恋しくてどうしても帰りたくなりました。そこでワニザメを見つけ「ワニザメさん、あなたの仲間と私の仲間とどちらが多いか比べっこしようよ。この島から気多の岬まで並んだら私がその上を飛んで渡りながら数えてあげるよ。」と言ったところワニザメがずらっと並びました。私はその上をピョンピョン飛んで渡りましたが後一匹で渡り終えるという時になって、つい嬉しくて「私はただ帰りたかっただけだよ。間抜けなワニザメさん!」と言ってしまいました。すると最後のワニザメが襲ってきて毛を剥いでしまったのです。そこで私が痛くて泣いていると多くの神様がやってきて治る方法を教えてくれたのです。でも前よりひどくなってどうしょうもないのです。」と言ったところ大国主は可愛そうになって、「他の神様はワニザメをだましたお前をこらしめるために嘘をついたのだよ、これからは人を騙してはいけないよ!」とさとした後、「体を川の真水で洗い、蒲の穂綿でくるまっていればすぐ治るよ!」と教えてあげました。ウサギがそのようにすると毛も生え元のように治りました。ウサギはお礼を言った上に、「あの意地悪な神様たちは、姫をお嫁にもらうことはできません。姫は、大国主様を選ぶでしょう。」と予言し、そのとおりになりましたとさ。』

 ところがこの話には裏の意味があり、日本書紀の垂仁天皇39年10月条に、『イニシキが茅渟の兎砥の川上宮で剣千口を造らせた。その剣を川上部(かわかみのとも)、又の名を、裸伴(あかはだがとも)と言う』、という記事があるそうです。アイヌ語ではこの「兎砥の川上」と「裸」と「抜き身(の刀)」がほとんど近い発音だそうです。すなわち抜き身の刀が別の言葉で呼ばれたのではないかということです。従って因幡の裸ウサギは抜き身の刀を表していると。
 このお話は、「浜辺に抜き身の錆びた刀が落ちていた。潮風にさらすとさらに錆がひどくなるので、真水で洗った後良くふき取って粉をかければ元通りになった」という、刀の保存方法を示したものだという。そういえば昔の鞘は鮫皮をならして黒漆を塗ったものなどが発見されているので刀が鮫に復讐されたのかな?粉も近年は打粉といって少し丸いもの(てるてる坊主状)が使われているが昔は蒲の穂状だったのかも知れませんね。

コメント

_ 白兎の小使い ― 2008年04月09日 00:29

 はじめまして。因幡の白兎の日本書紀記述との関連については初めて知りました。八上姫の故郷、因幡の八上には天照大神と白兎が出会ったという伝承が残っています。ブログを開設しております。一度ご訪問ください。

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