「日本食糧危機」近未来2006年08月12日 02:38

 1960年代には70%以上あった食料自給率(熱量に換算して算出)も90年度後半には40%になり昨年まで8年錬続で横ばいとなった。前々から50%を維持しなければという声も上がっていたがいつの間にかうやむやになっていった。最近、政府は2015年までに45%まで回復したいと目標を立てているが農水省は遅まきながら来年度から国内農家の体質強化にともなう農産品の国際競争力を高める改革を始動させる予定。具体的には米、小麦、大豆、てんさい、じゃがいもの主要5品目の一定規模以上の農家に限って補助金を出すというもので、今までの全農家を対象としたバラマキ補助金を廃止した。これにより中小農家は置き去りにされ、大農家に吸収集約されていかなければならなくなりそうだ。グローバル化の波に押され金融機関の再編成が活発に行われているが、同じく農家の再編成も重要な課題となっていくのかもしれない。
 将来、自給率が回復するかは未知数であるが、世界戦略においても食料は立派な交易材料、武器となりうる。世界的に人口は増大しているが食料の生産量はそれほど伸びていない。中国、インドをはじめアフリカ、南アメリカの人口増が深刻な食糧問題を引き起こすことは今も将来にわたっても疑問の余地がない。たとえ手に入れられたとしても高額な代価を支払うことになり、正常な経済システムを維持できなくなる可能性がある。
 先進国においても、豪州230%、フランス130%、カナダ120%、米国110%、ドイツ91%、スペイン90%、英国74%、イタリア71%の自給率に比べはるかに見劣りがする。
 日本は米国の主張を次々と受け入れてきた。主食の米ですら輸入解禁とし、その陰で生産調整を行い休耕田に補助金を出してきた。米国にとって、日本は超お得意様であるから、石油と同じく農産物の自給や他国からの調達を増やして欲しくない。もし日本がすでに、米国の属国の一つに過ぎないと考えそれを容認するのならば止むを得ないが、そうでなければ軍事力、資源の調達、加えて食料の調達についても自立しなければもはや日本は主権国家とはいえないのでは。今、徐々にではあるが米国一辺倒から脱却しつつあるようにも思えるがまだまだである。最近、米国とのしのぎあいの末、牛肉輸入が再開された。日本側での全件確認という多大な時間と経費をかけた上で。
 今日からお盆で田舎に帰ります。しばしお別れです。それではまたの日を。