不動産投資信託が破綻2008年10月10日 09:00

 REIT(不動産投資信託)で初の破綻が生じた。ニューシティ・レジデンス投資法人は9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は1123億円。
 このニュースを聞いたときエッと思った。確かに資金繰りが苦しくて手持ちの資産を赤字覚悟で売却したとは知っていたがここまで早く破綻が来るとは。
 というのも、REITをするならパフォーマンス的にこの会社と目星をつけていたひとつだったからである。ニューシティ・レジデンス投資法人は賃貸住宅に特化し108棟のマンションを保有し、それも東京主要5区(千代田・中央・港・渋谷・新宿)の物件が半分近く占め、最近では関西の物件を増やしていた。資産規模は1941億円で、REITでは中堅。
 スポンサーには外資系と傘下のデベロッパーが加わっているのが特色。
 この法人、米金融不安によるREIT相場の低迷などで資金繰りが悪化し、9月25日の報道では「9月末返済期限の借入金125億円のリファイナンスが出来なかったため、保有物件3棟の売却によって返済資金を調達する。売却額は計87.9億円。簿価より安く手放すため、当該借入金は全額返済されるものの、売却損が約12億円発生する。・・・なお、今後も第8期中の借入金返済122億円(10月17日に45億円、12月18日に40億円、21年1月31日に37億円)が必要である。このため短期的なリファイナンスリスクが継続する」とある。      
 今後の返済予定(まずは10月17日の45億円)がたたず民事再生法の適用を申請したものとみられる。
 10月9日での取引値は71000円、前日より1万円下げた。それも11月10日の上場廃止で終わる。一年前までは60万円前後の値をつけていたのに今やその一割程度。不動産投資熱が急激に冷めていったのが判る事件であった。新たなREIT破綻が起こらないことを祈る。