「バカはなおせる」2006年05月09日 23:58

 最近、気になる本に「バカはなおせる」がある。著者は1932年生まれの久保田競(きそう)京都大学名誉教授で「脳機能」の分野では日本での最高権威である。任天堂DS用ゲーム「脳を鍛える大人のDSトレーニング」で有名な川島隆太教授の師にもあたる。

 著者はその著書の中で近頃の脳ブームに対し間違った認識をしないように警鐘を鳴らしている。
 たとえば、「脳内汚染」の岡田尊司氏のテレビゲームはドーパミンを増やし麻薬と同じ効果をもたらすので脳を衰えさせ、キレ易い性格にするので好ましくないという考えに対しドーパミンは脳の活動を活発化するので脳に好ましいとの考えを述べている。ただゲームは熱中のあまり他のことがおろそかになる。従って禁止するのではなく決めた時間内で楽しませ、予定通り止めさせれば良いと。
 川島隆太氏の論説に対しても計算ドリルや漢字の書き取りなどが「前頭前野を発達させる『かも』しれない」という限り問題ないが、「前頭前野を発達させる」と言い切られると、それはまだ科学的に問題だという。
 「バカの壁」の養老孟司氏についても大問題ではないが専門的に間違っている点を2点ほど指摘している。
 また「ゲーム脳」を言い出した森昭雄氏をかなりきびしく批判している。森氏の脳波によって脳の働きについて論ずることは専門的に信憑性にかけるというものである。

 著者は運動や人との対応が脳の活性化に対して非常に重要であるということを強調している。特にランニング(ジョギング)がいいそうだ。またゲームも楽しみながら、前頭葉を鍛えられる「だろう」と推測できるのでおすすめするとある。

 著者は別稿で「本当に頭のいい子とは、問題に直面したとき自分で解決法を見つけて行動できる子です。なぜなら、問題解決の能力が知的能力であり、いわゆる知能だからです。」と述べている。また『昔から記憶力の優れた人、特に色々な知識を持っている人を「頭がいい」というような傾向があり、今の学校教育や受験勉強においても、詰め込み型で、物覚えがいい人が成績が良くなる仕組みになっているため、記憶力の優れた人が頭がいい人と評価されがちです。』とも述べている。

 運動や人づき合いやゲームを通じて頭を良くするだけでなく、運動しなくても運動能力を開発出来る、頭や記憶力を良くする食べ物や薬がある、貧乏人は金持ちより脳が萎縮しやすい、引きこもりやキレ易い人は脳に原因があり直すことが出来る、脳に良い走り方がある等々えっと思うことがちりばめてある。脳の働きを良くする毎日の過ごし方や年代ごとの脳を最高に発達させる習慣等も記してある。頭が良い人にもそうでない人には特にオススメである。やはり運動か・・・・。