イラン、ミサイル発射2006年11月04日 06:11

 イランがミサイルの発射演習をしたね!『イランの革命防衛隊は2日、陸海空での大規模な軍事演習「偉大な預言者2」を開始し、国営テレビは、射程2000キロの中距離弾道ミサイル「シャハブ3」が発射されたと報じた。』北朝鮮の次はイランですかやり切れないな~!もっともイランと北朝鮮は密接な関係があるのでありうる話しですが。

 そもそも、ことの起こりはパキスタンの「核開発の父」とされるアブドル・カディル・カーン博士が核に関する機密や素材などをイランや北朝鮮、リビアに渡したことに始まる。
 このうちリビアは1988年にパンナム機爆破事件を起こし、国連安全保障理事会により経済制裁を受け続けていたが最近、リビアの最高指導者ムアンマル・アル=カッザーフィー(カダフィ)大佐は態度を軟化させ爆破事件の責任をとるとともに核開発の全面放棄を宣言するなどした。その結果国連の経済制裁は解除され、アメリカも「テロ支援国家」指定からはずすとともに2006年5月には国交正常化を発表した。
 北朝鮮についてはようやく6ヶ国協議のテーブルに着いたところ、まだまだ先が読めない。
 イランについては北朝鮮より先に問題視されているが安全保障理事会の常任理事国の内、米・英・仏と露・中の対立があり、その制裁が具体化していない。
 イランの核開発疑惑が起こったのは、イランが原子力発電所としてプルトニウムが出来やすい重水型の実験炉を建設したことと、秘密裏に中国からウランを輸入したことによる。そしてウラン濃縮を公然と行ないだした。
 これに対して安保常任理事国+ドイツはウラン濃縮の中止を求めたがイランは「核技術開発は平和利用が目的」との主張を崩さず応じないでいる。
 これに業を煮やした英仏独は10月24日国連安保理に「核などの関連物資や技術の移転禁止、関係者の資産凍結、採択から30日以内にウラン濃縮活動停止に応じなければ制裁を強化する」などを盛り込んだイラン制裁決議案を提示。これに対しロシアは、イラン南部ブシェールで協力している原子力発電所の建設継続を同案が容認しているにもかかわらず、「我々はイランを外部の世界から孤立させる方策を支持できない」と同案に強く反対。一方、米国は、同原発の建設停止を求めて英仏案の修正を要求し、常任理事国の足並みは乱れている。
 この乱れに乗じてイランは27日2基目のウラン濃縮装置を稼動させ「平和利用が目的ならウラン濃縮も正当な権利」との原則論を押し通し、NPT(核拡散防止条約)を脱退することなく、NPTの枠内で引き続き核開発の正当性を主張していく立場を明らかにした。
 すでに、イランのアハマディネジャド大統領は、核計画で協議継続を要求する一方、決議が採択された場合でも核燃料製造を放棄する考えはないと強調している。

 米国は大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)の海上阻止訓練を30、31日の両日、ペルシャ湾で行い、日本や韓国を含む英仏伊など25カ国が参加した。北朝鮮の核実験を受け、船舶の貨物検査などの経済制裁を含む国連安保理決議が採択されてから初の訓練となった。これをイランは「冒険主義的だ」と非難していたがこの対抗処置として冒頭のようにイラン革命防衛隊がペルシャ湾を中心に軍事演習を開始したもの。
 革命防衛隊のサファビ最高司令官は1日、国営テレビを通じて、2~11日までの10日間、ペルシャ湾とオマーン湾を中心に、陸上では全国14州に及ぶ大規模な軍事演習をすると発表。「いかなる脅威に対しても、抵抗する準備ができていることを示すことが目的だ」と語った。ペルシャ湾にあるホルムズ海峡は湾岸諸国からの石油輸送の大動脈。イラン核開発問題で、国連安全保障理事会が対イラン経済制裁を発動した場合、イラン政権幹部は海峡封鎖の可能性を示唆する発言をしており、今回の軍事演習は制裁論議をけん制する狙いもありそうだ。
 これと平行して米政府は、シリアとイラン、およびイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラなどが、レバノン政府のシニオラ政権の転覆を画策していると非難した。
 こうしてみると米国とイランの対立はますますエスカレートしていくように見える。

 ミサイルについても北朝鮮との関係が疑われている。北朝鮮は約500基に及ぶスカッドミサイル「火星」5号と6号をイラン、リビア、シリア、エジプト、イエメンなどに、50~100基のノドンミサイルをイラン、パキスタン、リビアなどに輸出している。ベトナム、スーダンにも火星5号、6号ミサイルを少量輸出したとされる。現在イランが開発中のミサイル「シャハブ」4号と5号はテポドン1号と2号を、パキスタンが開発中の「ガウリ」はテポドン1号と同一モデルと推定される。こうした開発データを共有するという弾道ミサイルをめぐる国際コネクションの存在および旧ソ連崩壊後のスカッドミサイル開発やロケットエンジン研究に携わった旧ソ連の技術者の招聘が、北朝鮮の独自のミサイル開発能力を支えた最重要要因ということになる。
 これよりカーン博士に近いものを要としたパキスタンと北朝鮮とイランを結ぶ核ミサイル開発のラインが浮かび上がってくる。

 これらのことより米欧は将来、イランがシャハブ3などの中距離弾道ミサイルに核弾頭を搭載する可能性が高いと警戒している。

 北朝鮮にイラン、解決はまだまだ先のこと。日本にとっては隣国(北朝鮮)と貿易相手国(石油の重要な輸入国)すなわち地勢的な危機と経済的な危機に直面している、まだまだ緊張は続く。