米朝2国間協議実現!2006年11月01日 07:01

 31日、米中朝の3ヶ国の非公式会議で「都合がいい近い時期(11月か12月)」に6ヶ国協議を再開することで合意された。これは中国政府の提案により、武大偉外務次官を仲介役に、ヒル国務次官補と北朝鮮の金桂冠(キムゲグァン)外務次官が「6カ国協議推進について、率直かつ、突っ込んだ話し合いを行った」というもので協議は7時間に及んだ。さらにヒル次官補は、金次官補と同日、2国間協議を行ったことも明らかにした。これによると北朝鮮は核廃棄を確約した昨年9月の共同声明について、金次官は「順守する」と述べたことが明らかにされ、米側も席上、6カ国協議で金融制裁について「作業部会をつくる用意がある」と表明した。

 この会議には3者の思惑が溢れている。まず中国は議長国としてのメンツとともに北朝鮮への制裁本格化を許したくなかった。10月19日、胡錦濤中国国家主席の特使として平壌に唐家セン国務委員(前外相)を送りと金正日(キムジョンイル)総書記と会談するとともに先週末、米国の駐中国大使を通じ、ライス国務長官に非公式会合開催の打診を行なった。
 これを受けアメリカ側は「なぜ、北朝鮮が復帰を決めたかわからない」としながらも中国のメンツを立てるとともに11月7日の中間選挙に対するサプライズとして従来の2国間のみの協議はしないとの方針を捨てこの非公式会議に臨んだもの。この決断にはアメリカの与党・共和党の中間選挙での苦戦が関係しているように思える。この現状打破を狙ったものではないだろうか?現時点での予想ではイラク情勢泥沼化に伴う米兵死者の増加などを受け、下院では野党・民主党の多数派の座奪還が確実視されるうえに、上院でも民主党が過半数を獲得して勢力逆転に成功する可能性が出てきた。本来、大統領はその政策の失敗になんら責任をとる必要はないとされているが、下院の発議で上院の3分の2以上の多数によって弾劾により解任できる。
 北朝鮮としては、生命線としている中国との関係悪化の改善とともに米国が米朝2国間協議に応じたことを、「譲歩」ととらえ、再開に合意したものと考えられる。

 これに応じて、英、露、日、韓のいずれも中国の仲介の労に対する感謝と再開に歓迎の意を表しているが、日韓においては北朝鮮が核保有国としてテーブルに着くことに警戒している。ただ、再開されても、協議の難航は必至だ。ワシントンの米当局者は、金融制裁を今後も継続する方針を示した。北朝鮮も核放棄をする可能性は少ない。

 北朝鮮では当分核実験は行なわれないだろうが、水面下で必死の開発研究(前回の長距離ミサイルや核実験は失敗?とみられる)が行なわれていると見ていい。今回の決定は経済制裁(特に中国)の緩和を狙うとともに時間稼ぎの可能性もある。私たちはこの再開に期待するだけでなく、いつでも北朝鮮が核保有国であるとの認識の上で対応していかなければならないだろう。