気になる円相場2006年06月09日 01:36

 一時円高で心配していたが少し落ち着いてきたようだ。円高が続けば輸出産業にダメージを与え、せっかく景気が回復してきたのに再度減速しそうで少々心配である。
 しかしながら「黒字亡国」の著者である三國陽夫(みくにあきお)氏によれば、「円高」で一喜一憂するのではなく早く「強い円」にするべきで、そのためには輸出依存から脱却して住宅投資を中心とした国内消費を活発化する必要があり、個人が資金調達や資産の処分を簡単に出来る環境を整えなければならないと説く。
 今、日本が輸出で稼いだ資金のほとんどは海外への投融資に使われ日本国内には回ってきていない。したがって日本は豊かになれない。アメリカは赤字にもかかわらず製品をどんどん購入し消費している。そしてその購入費をドルで支払っている。日本にはドルがどんどん増えているがその使い道は国内でなく海外への投融資である。その結果アメリカはその資金でますます製品を買い、消費していく。また日本の株式などに投資していく。それを円高や株高のときに処分し多くのドルを手に入れている。
 アメリカが破産すれば紙切れ同然になるドルを日本は約200兆円も溜め込んだことになる。これを解消するにはドルを売るしかないが、それが円高に振れ、輸出に悪影響を与えると政府は及び腰だ。しかしながらその恩恵を受けているのは輸出に依存する一部の大企業に過ぎない、同じ輸出業者でも中国と競合する業者は苦戦を強いられている。格差社会の解消もにらみ政府も大量のドルを抱えることなくもっと国内に目を向けるときがきたのでは。どうも成果のすぐ現れる施策には熱心だが時間のかかる施策には乗り気薄のようだ。安易な解決は後顧に憂いを残すのにね。
 ついでに中国では少し事情が異なる。中国は05年12月末の時点で、4500億ドルの米ドル資産(この内1900億ドルが米国債など)を有しているため、アメリカは中国を刺激した場合投売りされたら米国の債券市場や貨幣市場に深刻な影響を及ぼすと中国に対する貿易制裁を発動できないでいる。
 かたや、日本は勝手に200兆円を放出できないと思っている。いざとなれば貿易制裁の発動も考えている。なんせ御しやすい同盟国?子分?ですから。
 アメリカの繁栄は日本や中国のお陰。我々もアメリカと大企業のためにしっかりとがんばり(我慢し)ましょう!?