ホルミシスとは?2008年09月20日 15:48

 ホルミシスという言葉をご存知でしょうか。「放射線は被ばく量に伴い直線的に人体に悪影響を与える」という理論の反証として米国のラッキー教授が「少しの放射量であれば人体に有用である」との理論を提唱した。この理論は微量の放射線はホルモンのように人体に有効に作用するということから「ホルミシス」と名づけられた。
 この効果については、末期ガン患者のメッカとなっている秋田県玉川温泉(蒸気に放射性物質ラドンを含む)の岩盤浴や岡山大学医学部の御舩教授のグループが37年間にわたる統計の研究から、三朝地域(放射性物質ラジュウムの原産地)のガン死亡率は全国平均の2分の1であるとの発表から有効と宣伝されてきました。
 財団法人電力中央研究所原子力電力研究所放射線安全研究センターにおいては低線量放射線が生物の免疫力を活性化させるメカニズムの解明や医療分野への応用のための研究を進めています。
 私が一番興味を惹かれたのは東京理科大学生命科学研究所客員研究員高橋希之氏の「放射線ホルミシスを考える」である、同氏はこの論考の中で「被ばくで起こる生体応答(放射線適応応答を含む)には様々なものがあり、その中にはその条件において有益に作用する現象は確かにある。そして、それを応用することでヒトの治療に役立つものもある。しかし、一般論的に少しの放射線は体によいとか少しの放射線は受けた方がいいというのは間違いだ。」と結論付け今まで有効の材料として使われていた各種のデータに鋭いメスを入れている。上記の三朝地区のガン死亡率も前出グループの六年後の調査データでは胃ガンを除いて大腸ガンなどの減少は見られず逆に男性では肺ガンが増加していると報告されていることを明らかにした。また胃ガンについては放射性物質を含まない別府温泉でも減少が報告されていることよりホルミシスの効果は薄いとしている。今のところホルミシス効果が期待できるのは慢性リンパ性白血病と非ホジキンリンパ腫の治療だけとのこと。
 「病は気から」という「どうしても治したい」「何が何でも生きたい」という執念こそが「ホルミシス効果」かも知れない。
 温泉が胃ガンに効くというのも、そのリラックス効果がストレスからくる潰瘍を抑えてくれるからでは。そこんところを温泉にでもつかりながらじっくりと考えてみたい。