憎しみを音楽にかえて2007年07月18日 01:13

 「目には目を、歯には歯を」とはハンムラビ法典の一節であるがこれは本来「やられたらやりかえせ」の意味ではなく、倍返しのような過激な報復を禁じるあらかじめ犯罪に対応する刑罰の限界を定めることが趣旨らしい。
ところが、パキスタンではモスク事件の報復として自爆テロが続出している。「武力で武力を抑えることが出来ても決して紛争をなくすことは出来ない」のに。

 1987年の12月、イスラエル占領下のヨルダン川西岸において8歳の少年が友達と歩いていたときイスラエル軍の発砲で友達が死んでしまった。
それ以来少年は両手に石を持って、毎日、イスラエル軍や(占領地の)ユダヤ人入植者に投石して暮らした。そしてそれが反イスラエル抵抗闘争を鼓舞した一枚のポスターになった。
 その少年の父親は90年にイスラエル軍に殺害された。03年には弟も殺された。自身にも投獄されたことがある。
 その少年は今、プロのビオラ奏者に成長し、パレスチナ自治区で音楽活動を続けているそうだ。「こんな環境では爆弾を作り、自爆しようと考えても不思議はない。音楽と出合わなければ僕も今ごろ本物の『戦士』になっていたかもしれない」と言っている。
 イスラエルの分離壁に囲まれ、占領下で抑圧された子供たちに必要なもの--。「それは銃ではない、音楽を通じて生きる希望を与えたい」と奮闘しているそうだ。

 音楽で相手を許すまでには至らなくても少なくとも報復の芽は摘めるのでは!?音楽とはかくもすばらしい。
 ただし、音楽を愛するからといってそれが人を愛するには繋がらない。かつてドイツのゲシュタボ(秘密警察)の高官はこよなくワグナーを愛していた。
音楽への過剰な期待は出来ないが音楽が平和への端緒となって欲しいものだ。