「代理処罰」2007年01月19日 20:22

 日本では最近、交通死亡事故や強盗事件の外国人容疑者が母国に逃げ帰り、そのまま処罰されない事例が相次いでいる。
 普通、日本で犯罪を行なった容疑者が外国に逃亡してその国で逮捕された場合、相手国との間で容疑者引き渡し条約が結ばれていれば、日本からの要請で容疑者を日本に移送して取調べを行なうことが出来る。しかしその国と容疑者引き渡し条約が結ばれていなければその引き渡しを要求することは出来ない。また自首も国際指名手配をされた場合、入国に必要な査証を領事館が発行しないため、不可能となりうる。特にブラジルでは自国民を外国へ引き渡すことが憲法で原則として禁じられているため、いよいよ難しい。
 そこで一旦出国した外国人にはその国の検察当局に容疑者に対する容疑を裏付ける証拠書類などを提供して捜査・処罰を要請するしかない。
 このように日本での犯罪を日本の法律ではなく外国の法律によって処罰してもらうことを「代理処罰」と呼ぶ。
 最近では、中国国籍をもつ者が日本の都市の繁華街などで利権を争って相手を殺害し、中国に逃げ帰る例が増加している。日中間では身柄引き渡し条約が結ばれていないので、日本側が犯人を特定できてもその処罰は中国側に委ねる以外に手段はなかったが、日本の警察は積極的に犯罪者の資料を提供して「代理処罰」を要請する例が増えてきた。中国側もいくつかの事件において日本の要請に応えている。
 また、ブラジルへの「代理処罰」の要請も増えている。
 このあたりをしっかりしないと外国人の受け入れが犯罪増加の要因ともなりかねない。