中小企業憲章・・(2)2005年12月06日 13:10

 私は、中小企業家同友会に参加しているけれど、そこで「中小企業憲章」の制定が切望されています。

 なぜならば、今のままでは産業や地域の空洞化が進み、地域経済の衰退が顕著になり、日本経済の健全な発展と国民生活の安定が望めないからです。

 確かに現在「中小企業基本法」がありますが。これは中小企業の発展は大企業の発展に従ってなされるもので、その要求に答えるべき近代化が必要との理解の元で制定されています。

 また、今までは、大企業の下請け体制で十分な発展が望めていました。しかしながら大企業自身はグローバル戦略に伴い生産を国内より海外へシフトしています。

   輸出金額と大企業を中心とした海外現地法人の売上高

              輸出       海外現地法人
     94年   40.5兆円      34.5兆円
     96年   44.7兆円      47.2兆円
 
 このように、当てにしていた大企業がもはや頼りにならなくなってしまいました。よって中小企業・自営業は大企業だけに依存しない独自の道を模索しなければなりません。

 現在、中小企業・自営業が労働人口に占める割合は8割になるといわれています。これらの人が元気で安定して本来の力が発揮できなければ、日本経済の、当然ながら地域経済の、本当の再生は不可能です。

 そこでモデルになるのがEUの「欧州小企業憲章」です。

 「欧州小企業憲章」(2000年制定)

 内容は小企業は「ヨーロッパ経済の背骨」「雇用の主要な源泉であり、ビジネス・アイデアを産み育てる大地」であるとの理念を掲げ、ヨーロッパ経済戦略の中核に中小企業を位置付けています。まず、中小企業ありきです。

 アメリカ型の市場経済絶対主義から離れて市場経済原理は認めるが生活の中には持ち込ませないという人間の幸せをベースにした新たな考え方も含まれています。 

 日本にとってアメリカ型は破綻しかけているといっても過言ではありません。一部の大企業とその周辺だけが潤って、大部分の中小企業は逆に低迷しています。

 そこでこの「欧州小企業憲章」をモデルとし、現在、数は少ないが地方行政で制定されている「中小企業振興基本条例」を参考に産官学の共同で従来の「中小企業基本法」も超えた日本独自の新しい「中小企業憲章」の制定が必要になるのです。

 私たち中小企業家同友会にとっても最大の関心事です。各地域で他の経済会と連携して行政をも巻き込み、まずは「中小企業振興基本条例」の制定、改定からはじめ「中小企業憲章」の制定に向かって邁進しなければなりません。大げさでなく日本の未来のために。

 参考資料:「中小企業憲章学習ハンドブック」(編集・発行:中小企業家同友会全国協議会)頒価:500円
 参考: http://www.doyu.jp/kensyou/
     http://www.douyukai.or.jp/teigen/kensyo/index.html