世界的金融不安?2007年08月17日 11:10

 日経平均株価が大幅に続落し2006年11月29日以来の安い水準になった。米国のサブプライムローン問題に加え米国住宅着工件数の低下(前月比6.1%減で10年半ぶりの低水準、前年同月比では20.9%減少した。)それらを不安視した米国株式相場の大幅下落、これに伴い日本の株式市場から資金を引き揚げる動きが止まらない。加えて円相場の上昇によるハイテクや自動車などの輸出関連企業の収益減速懸念が輪をかけた。
 発端は昨年の12月。米国のサブプライムローンを専門的に手掛ける比較的小規模の金融機関が資金繰りに行き詰まり、業務を停止し今年の2月に破綻した。ほかにも約20社が業務を停止しており、今年中に100社が破綻するとの観測も出ていた。3月には専門会社大手も破綻した。
 これを重視した米格付け大手はサブプライムローンを担保にした証券の大量格下げに動き始めた。サブプライムローンの延滞や差し押さえが急増しているためで、同証券に投資するヘッジファンドの経営悪化や米住宅市場の一段の減速を招く要因となった。
 続いて米不動産投資信託(REIT)大手、アメリカン・ホーム・モーゲージ・インベストメントが破綻し、また米大手証券ベアー・スターンズ傘下の二つのファンドが破綻し約15億ドル(約1770億円)を失った。
 日本においては野村ホールディングスは1―6月で累計約720億円、新生銀行も同期間に34億円、住信は2億円、三井トラストはゼロ、三菱UFJは7月末時点で約50億円、あおぞら銀行は4―6月期に44億8000万円とそれぞれ損失が生じた。
 ドイツでは中堅銀行のIKB産業銀行が、サブプライムローンに絡んだ投資で損失を出し政府系金融機関から80億ユーロ(約1兆3000億円)規模の資金支援を受けることになった。フランスではアクサが2つのファンドで7月中旬に10%を超す損失を被ったが顧客の流動性確保を理由にファンドの買い戻しを決めた。仏銀最大手BNPパリバは傘下の三つのファンド(資産総額は20億ユーロ=約3200億円)を凍結した。
 これらの金融危機において信用不安の発生・拡大を防ぐため、欧州中央銀行(ECB)は合計約2035億ユーロ(約32兆8000億円)を緊急供給した。
 米連邦準備理事会(FRB)も傘下のニューヨーク連銀を通じ、米金融市場に総額240億ドル(約2兆8000億円)の資金を供給した。日銀は短期金融市場に即日で1兆円を供給する公開市場操作(オペ)を実施した。
 国際協調によっても市場の不安は払拭されなかったようだ。このまま世界的金融不安に突入するのだろうか?成り行きが心配である。