「ワーキング・プア」2007年06月12日 09:58

 米国で04年出版したデービッド・シプラーさんの著書が邦訳され「ワーキング・プア アメリカの下層社会」(岩波書店)として出版された。「ワーキング・プア」とは勤勉に働いても、低賃金で貧困から抜け出せない人々のこと。
 筆者は「貧困の原因は個人」と一方的に切捨て、この問題にかかわろうとしない政治家や、安い労働力を追い求める経営者たちに「貧困は国家全体の大きな問題」と呼びかける。
 アメリカでなくても日本でも「ワーキング・プア」は大きな社会問題となっている。「格差社会 何が問題なのか」(植木俊詔著・岩波新書)によれば貧困度でいえばOECD(経済協力開発機構)加盟国中日本は1メキシコ(20.3%)、2アメリカ(17.1%)、3トルコ(15.9%)、4アイルランド(15.4%)についで15.3%で堂々?の5位。決して対岸の火事ではない。この貧困者とはその国の平均のさらに半分以下の所得しかない人を指す。
 国は繁栄の陰で苦しんでいる人を置き去りにしがちだが、この貧困者を減らす施策に真剣に取り組まなければいずれアメリカに追いついてしまう。日本版FPジャーナル6月号に「日本の貧困 その実態とアドバイス」という特集が載っていたが私もそれを参考に少しでもお役に立てればと願っている。