2450万分の222007年03月22日 01:19

 「タミフル」を巡る問題で、服用後に未成年が飛び降り・転落などの異常行動を取ったケースが新たに発表された2件を含め15件あり、大人の異常行動による事故も自殺が疑われるケースを含めて7件あり合計22件になることが判った。

 厚生労働省は21日未明に会見し、10歳以上の未成年については合併症や既往歴によるハイリスク患者以外は原則、タミフル使用を控えるよう添付文書を改訂、医療機関に「緊急安全性情報」として配布するよう輸入販売している中外製薬に指示したことを明らかにした。ただ厚生労働省は「タミフル」とこれらの異常行動との因果関係は明らかではないといっている。

 これに対し「タミフル」を服用後、異常行動で我が子を亡くした「薬害タミフル脳症被害者の会」(軒端晴彦代表)の秦野竜子さんは、「厚労省はこれまで安全性に問題はないと言っていながら、今さら何を言っているのか」、同じく小久保和彦さんも「命にかかわることがあれば、どこに責任の所在があるのか。10代以外は本当に大丈夫なのか」とのコメントを出した。

 また、厚生労働省研究班の班長としてタミフルの副作用を調べ「飛び降りなどは、タミフルを飲まなくても生じた例もあり、学問的には副作用かどうか分かっていない」と述べている横田俊平・横浜市立大教授(小児科)や分担研究者の森島恒雄・岡山大教授について、「タミフル」を輸入販売している中外製薬により多額の「奨学寄付金」が渡されており、これに対し「薬害タミフル脳症被害者の会」は研究がゆがめられた可能性があるとして厚生労働省に対し両氏を辞任させるよう求めている。

 一方、現場にも混乱が生じている。「タミフル」はインフルエンザの特効薬として01年の発売以来、約2450万人が日本で服用している。
しかしながら、他に効く薬もなく「中止は不便。タミフルが使えないと『水分を多く取ってください』などの対処療法となる。それでインフルエンザ自体の危険性を防げるのか心配」と懸念の声も聞こえている。
また、代替薬として「リレンザ」があるがこれも大丈夫とのお墨付きがあるわけでない。

 薬乱用については別途考慮する必要があるが、「タミフル」が多くの人命を救ってきたのも事実だろう。一部の死で完全に否定するのはいかがなものかと思う。ただ人命は何ものにも代え難い、「タミフル」の副作用はあるとの仮定でどういう体質の時に症状が起きるのかを研究していかなければならないだろう。そのためにも研究者は疑いをかけられないように襟を正すべきであろう。場合によっては拘束できる授薬施設の完備も必要かもしれない。たとえ2450万分の22のためであっても。