菱餅はなぜひし形か? ― 2006年03月01日 23:41
3月になりました。ひな祭りの語源を調べていくうちに一つの疑問にぶつかった。それは「菱餅がなぜひし形か?」ということである。菱餅はもともとは菱の実そのものを供えており、その代用として菱の実を練りこんだ餅を菱餅と言っていたらしい。したがって最初の菱餅の形は菱の実をかたどって三角形だったらしい。「菱」の名の由来においても、実の両端にトゲがあることを「緊(ひし)」と表現したことからといわれている。実際、菱の実は鬼の顔やデビルマンに似ておりどう見ても逆三角形でひし形とは見られない。それではどうしてひし形なの?
★菱:1年生の水草で、茎は細長く、水の深さと同じ。葉は、水中葉と水上葉があり、水中葉は根の形をしている。水上葉は、「菱形?」をしている。葉柄の部分には、空気を貯えるようにできており、これが、浮き袋のような働きをするので、水に浮くのに便利な植物構造となっています。白い花をつけ、9月から10月ごろに熟して収穫される。昔は生や蒸して食べており、滋養強壮の薬ともしていた。水栗(ウォーターマロン)ともいい少し水っぽいが栗のような食感。
調べていくうちに一つのヒントに辿り着いた。それは伊勢神宮の神紋がひし形よりそれにあやかってと。なるほど調べてみると確かに花菱紋といってひし形をしている。でもそれだけだろうか?さらに詳しく調べていくうちにこれだというものに辿り着いた。それは住吉神社である。住吉神社の神紋は陰花菱紋(白抜きの花菱)といってやはりひし形をしている。(この紋様は、菱の実ではなく菱の上葉を紋様化したもの)
住吉神社の祭主は津守氏で祭神は、底筒男命、中筒男命、表筒男命(三神を総称して住吉大神と称す)と息長足姫命 (神功皇后)である。三神は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が黄泉の国より戻ったときに、穢れを落とすために阿波岐原(あはぎはら)にみそぎ祓いされたとき、海の中より生まれた神様と伝えられている。天照大神もこの時生まれた。
住吉大神は、禊祓(みそぎはらい)の神格をもって出現になったたことから、禊祓の神であり、住吉祭は「おはらいまつり」と呼ばれる程、禊祓は住吉神社の神道においてもっとも 重要な神事とされている。奈良時代、遣唐使の派遣に際して、必ず朝廷より住吉社に奉幣 があり、その海上無事を祈った。そのほか、歌神として、古来歌道の上達に志す人が住吉社に参籠献詠した。(ここで禊と曲水の宴にゆかりの歌が出てきた。)
その他に、「神皇正統記」(北畠親房)によれば”肥後の菱形の池”( 熊本県鹿本郡植木町円台寺の菱形八幡宮)に応神天皇の霊(八幡神)が再降臨し八幡大菩薩の姿で現れたとされる。これが日本の神仏集合のもとになったといわれる。後にこの神は宇佐に移ったとされ、宇佐神宮にも菱形の池が残されている。
このようにひし形は神道においては神聖な形であった。最初菱の実に似せた三角形の菱餅が神聖な菱の葉を紋様化したひし形へ落ち着いていったのではないだろうか。
次に、なぜ菱餅は三段なの、その色の由来は?
菱餅は基本は上から赤白緑の三色であるが、地方によっては五色、七色もある。(ここでも神聖数3,5,7)また白や緑の三段重ねや緑白緑の三段重ねなども知られている。
もともとは白一色であったのではなかろうか、菱の実を練りこんだ餅をひし形に切り三段に重ねる、一番シンプル。次に緑の薬草を練りこんだ菱餅が作られた。もともと薬草としては御形(ごきょう)が人形(穢れを移す人形)につながるという事で使われていたが江戸時代の頃、御形は別名母子草ということから母と子をついて餅にするということから敬遠されヨモギが使われるようになった。江戸時代では緑一色や白を緑で挟んだものが一般的で、赤や黄色はどうも明治以降のことらしい。三色は単純に草餅の上におめでたい紅白の餅を重ねたと言えば身も蓋もないだろうか。
★色にはそれぞれ意味があるとされている。
赤は縁起が良い色であるからとか、解毒作用のある赤いクチナシが練りこんであるとか、梅や桃の花の色を指しているとか、魔除けを象徴しているとの説があります。
白は赤と対をなす縁起の良い色で、また血圧降下作用のある菱の実が練りこんであるとか、雪を表しているとか清浄や神への畏敬の念を象徴しているとかの説があります。
緑は若葉や雪の下で芽吹く草を象徴したり、厄除け、造血作用や健康・長寿に効能があるヨモギが練りこんであるとの説があります。
また、インド仏典の説話にならって菱餅を神に捧げるとの説もある。中国では仙人が菱の実だけを食べて長生きをしたという伝説がある。
★インド仏典:「川の氾濫で困った村人が毎年、少女を竜神に人身御供(ひとみごくう)に捧げていたが最後である8人目の少女の替わりに竜神の使いである天狗に菱の実を渡したところ、その実を食べた天狗がこれならば替わり(子供の味がする)になるかもしれないと持ち帰ったがそれ以来川の氾濫もなくなったのでその後毎年菱の実を竜神に捧げるようになった。」元来は、菱の実を神に捧げていたのが餅に変わっていったのが本筋らしい。赤い菱餅は犠牲になった女の子の血を表し、その霊を慰めるためにつくられ。白い菱餅は子供の命を救ってくれた菱の実に感謝するためにと。
いやー、菱餅とひし形でここまでなるとは。明日はひな祭りの由来、今日、理解できなかった関係が少しはわかるかも。(禊や人形)それではお楽しみに。
★菱:1年生の水草で、茎は細長く、水の深さと同じ。葉は、水中葉と水上葉があり、水中葉は根の形をしている。水上葉は、「菱形?」をしている。葉柄の部分には、空気を貯えるようにできており、これが、浮き袋のような働きをするので、水に浮くのに便利な植物構造となっています。白い花をつけ、9月から10月ごろに熟して収穫される。昔は生や蒸して食べており、滋養強壮の薬ともしていた。水栗(ウォーターマロン)ともいい少し水っぽいが栗のような食感。
調べていくうちに一つのヒントに辿り着いた。それは伊勢神宮の神紋がひし形よりそれにあやかってと。なるほど調べてみると確かに花菱紋といってひし形をしている。でもそれだけだろうか?さらに詳しく調べていくうちにこれだというものに辿り着いた。それは住吉神社である。住吉神社の神紋は陰花菱紋(白抜きの花菱)といってやはりひし形をしている。(この紋様は、菱の実ではなく菱の上葉を紋様化したもの)
住吉神社の祭主は津守氏で祭神は、底筒男命、中筒男命、表筒男命(三神を総称して住吉大神と称す)と息長足姫命 (神功皇后)である。三神は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が黄泉の国より戻ったときに、穢れを落とすために阿波岐原(あはぎはら)にみそぎ祓いされたとき、海の中より生まれた神様と伝えられている。天照大神もこの時生まれた。
住吉大神は、禊祓(みそぎはらい)の神格をもって出現になったたことから、禊祓の神であり、住吉祭は「おはらいまつり」と呼ばれる程、禊祓は住吉神社の神道においてもっとも 重要な神事とされている。奈良時代、遣唐使の派遣に際して、必ず朝廷より住吉社に奉幣 があり、その海上無事を祈った。そのほか、歌神として、古来歌道の上達に志す人が住吉社に参籠献詠した。(ここで禊と曲水の宴にゆかりの歌が出てきた。)
その他に、「神皇正統記」(北畠親房)によれば”肥後の菱形の池”( 熊本県鹿本郡植木町円台寺の菱形八幡宮)に応神天皇の霊(八幡神)が再降臨し八幡大菩薩の姿で現れたとされる。これが日本の神仏集合のもとになったといわれる。後にこの神は宇佐に移ったとされ、宇佐神宮にも菱形の池が残されている。
このようにひし形は神道においては神聖な形であった。最初菱の実に似せた三角形の菱餅が神聖な菱の葉を紋様化したひし形へ落ち着いていったのではないだろうか。
次に、なぜ菱餅は三段なの、その色の由来は?
菱餅は基本は上から赤白緑の三色であるが、地方によっては五色、七色もある。(ここでも神聖数3,5,7)また白や緑の三段重ねや緑白緑の三段重ねなども知られている。
もともとは白一色であったのではなかろうか、菱の実を練りこんだ餅をひし形に切り三段に重ねる、一番シンプル。次に緑の薬草を練りこんだ菱餅が作られた。もともと薬草としては御形(ごきょう)が人形(穢れを移す人形)につながるという事で使われていたが江戸時代の頃、御形は別名母子草ということから母と子をついて餅にするということから敬遠されヨモギが使われるようになった。江戸時代では緑一色や白を緑で挟んだものが一般的で、赤や黄色はどうも明治以降のことらしい。三色は単純に草餅の上におめでたい紅白の餅を重ねたと言えば身も蓋もないだろうか。
★色にはそれぞれ意味があるとされている。
赤は縁起が良い色であるからとか、解毒作用のある赤いクチナシが練りこんであるとか、梅や桃の花の色を指しているとか、魔除けを象徴しているとの説があります。
白は赤と対をなす縁起の良い色で、また血圧降下作用のある菱の実が練りこんであるとか、雪を表しているとか清浄や神への畏敬の念を象徴しているとかの説があります。
緑は若葉や雪の下で芽吹く草を象徴したり、厄除け、造血作用や健康・長寿に効能があるヨモギが練りこんであるとの説があります。
また、インド仏典の説話にならって菱餅を神に捧げるとの説もある。中国では仙人が菱の実だけを食べて長生きをしたという伝説がある。
★インド仏典:「川の氾濫で困った村人が毎年、少女を竜神に人身御供(ひとみごくう)に捧げていたが最後である8人目の少女の替わりに竜神の使いである天狗に菱の実を渡したところ、その実を食べた天狗がこれならば替わり(子供の味がする)になるかもしれないと持ち帰ったがそれ以来川の氾濫もなくなったのでその後毎年菱の実を竜神に捧げるようになった。」元来は、菱の実を神に捧げていたのが餅に変わっていったのが本筋らしい。赤い菱餅は犠牲になった女の子の血を表し、その霊を慰めるためにつくられ。白い菱餅は子供の命を救ってくれた菱の実に感謝するためにと。
いやー、菱餅とひし形でここまでなるとは。明日はひな祭りの由来、今日、理解できなかった関係が少しはわかるかも。(禊や人形)それではお楽しみに。
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