フィンランドに学べ2005年12月27日 15:44

 最近、少子化の危機が話題になっているがそれは決して日本だけでない。(日経新聞:人口が変える世界、第4部、少子化の危機から)

 ★旧ソ連圏では2050年までにスラブ国家のロシア、ウクライナ、ベラルーシの三国合計で5400万人(27%)が減る。特に極東やシベリアではソ連崩壊からすでに100万人の人口が減り、代わりに労働力の補填として数十万人の中国人の移民が進み、「黄色い危機」として危機感をつのらせているが容認せざるを得ない状況。スラブ民族再統合としてロシア聖教のもとに合併の話も出ている。
 減少の原因はソ連崩壊による都市部での価値観の変化と地方部の経済的な困窮、ウクライナが一番激しく合計特殊出生率(一人一人の女性が生涯に産む子供の数)は1.13%。
 ★お隣の韓国では日本よりさらに深刻だ。1970年に4.53%だった合計特殊出生率は2004年に1.16%まで急減した。子供を一人しか産まない親が増えており、そのためか子供に対する投資(一歳の誕生会や塾や海外留学)が盛んで家計の1/3を占めており、その負担がさらに少子化を加速させている。
 ★欧州では少子化による労働力確保のために移民争奪戦が行われている。例えば英国では以前はインドからの移民が多かったが2004年のEU拡大後はポーランドやチェコなどの中欧4ヶ国で全体の3/4を占めるまでなった。
 ところがポーランドやチェコでは折角育てた人材が英国等に移住するものだから逆に人材不足となっている。(ポーランドの出生率は1.25%)
そこでウクライナをはじめ東欧7カ国(ブルガリア等)からの移民受け入れを検討している。
 さらに、欧州ではカナダやアメリカの優秀な移民の受け入れも検討しており移民争奪戦は過激となっている。
 ★中国でも1979年に導入された一人っ子政策により少子化が進んでいる。お陰で子供は教育水準が高く、自信家で、かつわがままであると。一方公的年金は都市部で加入率が50%、地方部では制度さえ事実上ない。このまま進めばどうなるのか未来像は見えていない。
 ★シンガポールでは出生率は1.33%。お堅いといわれている政府が「性の博覧会・SEXPO」の開催を許可したり、男女の出会いの場を提供している。
 ★少子化対策として欧州各国では1980~1990年代から、「保育園の充実」「第3子への補助金増額」等の対策を採ってきたがドイツ、イタリア1.33、スペイン1、31%と低く決め手にはなっていない。
 ★ここでフィンランドでは出生率は1.72%と欧州の中では高いが、「若者が増えない経済社会」への移行を目指している。
 移民の受け入れに抵抗が強い国民性より女性や高齢者に活路を求めている。
 女性はすでに8割以上が就業しているが高齢者については再訓練や再就職相談を集中的に行うと共に年金支給も手厚くするなど就業率の増加を画策している。